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十勝から学ぶ地方創生のモデル―帯広市「フードバレーとかち」構想視察を通じて―




◆ はじめに



 北海道帯広市を中心とする十勝地域では、「フードバレーとかち」という先進的な地域戦略が進められています。今回、帯広市を訪れ、その取り組みの詳細と現場の空気を肌で感じる機会を得ました。


 徳島市と帯広市は姉妹都市という関係にあり、気候や環境こそ対照的ですが、「地方に根ざした資源を活かし、未来を切り拓こうとする姿勢」は共通しています。


 今回の視察を通じて、徳島市の農業振興や地域活性化、中洲市場の発展においても多くのヒントを得ることができましたので、ここにご報告いたします。




◆ 十勝地域の概要と強み



十勝地域は、帯広市と18の町村からなる広大な自治体連携圏です。面積は岐阜県を上回り、北海道の中でも特に農業が盛んなエリアとして知られています。



◎ 圧倒的な食料生産力



  • 食料自給率(カロリーベース):1345%(2021年:1339%)

  • 農業産出額:2024年見込みで3,770億円(全国上位)

  • 主な農産物:小麦、バレイショ、甜菜、小豆(「畑作4品」)

  • 畜産:生乳、肉牛も全国屈指の生産量




◎ 自立の歴史と精神



北海道の多くの地域が政府主導で開拓されたのに対し、十勝は民間企業「晩成社」が切り開いた地域です。この歴史が、自主独立の精神と地域経営の強さにつながっています。




◆ 「フードバレーとかち」構想の概要



「フードバレーとかち」は、前・米沢帯広市長が提唱した地域戦略であり、以下の3本柱を基本理念としています:


  1. 農業を成長産業に

  2. 農業を基盤に新たな産業を創出

  3. 十勝の価値を世界に発信



オランダの「フードバレー」構想をモデルに、十勝全域を“アジアのフードバレー”へと発展させることを目指し、19の自治体が「十勝定住自立圏」を形成。さらに産学官金の41団体による「フードバレー推進協議会」が実働部隊として機能しています。



◎ 活用される国の制度



  • 国際戦略総合特区(研究・輸出支援)

  • バイオマス産業都市(家畜ふん尿によるバイオガス発電:58基稼働、全国の約20%)





◆ 実際の成果と先進事例




◎ 商品開発と企業連携



  • 明治との協力により十勝産乳酸菌「トカチミルク乳酸菌TM96」を開発し、地元企業に無償提供。

  • JALUX(JALグループ)と連携した十勝産スイーツが羽田空港等で販売中

  • フードバレー応援企業は500社を超え、ブランドロゴが産品価値を向上させています。




◎ 高付加価値化と輸出



  • 長芋(ヤムイモ)でHACCP・グローバルG.A.P.認証取得。

  • 加工品「とろろ」として商品展開、海外輸出も視野に。




◎ 研究・技術支援



  • 帯広畜産大学が核となり、チーズ・小豆などに特化した開発プログラムを立ち上げ。

  • GPS・自動運転トラクター・牛の発情検知等、スマート農業技術を積極導入。




◎ 起業支援・市民参加



  • 「十勝イノベーションプログラム」:10年で83件の事業構想が発表され、うち27件が事業化。

  • 代表例:


    • 馬車BAR(駅前を馬車が運行し、地域産品を提供)

    • 野菜の廃棄部位から紙をつくる「野菜と紙」プロジェクト


  • 「とかちのやりたいこと実現カフェ・ランド」などのコミュニティ施設が、挑戦を支援。





徳島との連携の可能性



今回の視察において、議員間で非常に興味深い話題が交わされました。

それは、徳島と帯広の特産品を相互に流通させ、姉妹都市として「双方向のフードバレー」展開ができないかというアイデアです。


例えば、


  • 十勝の乳製品・加工肉・スイーツを徳島で販売

  • 徳島のすだち・柑橘類・鳴門金時・鳴門鯛などを十勝で展開

  • 地域フェアやオンライン共通ブランド企画などによる相互プロモーション



このような構想が実現すれば、**異なる風土を活かした新しい都市間連携モデル”となり、地方同士が支え合い高め合う新たな時代の地方創生として全国の注目を集める可能性があります。




◆ 地域基盤の強化にも貢献



「フードバレーとかち」は、産業振興だけでなく、暮らしの基盤整備にも及んでいます。


  • 防災:消防の広域化、災害時物資の統合管理

  • 医療:新病院の移転新設

  • 交通:高速道・貨物船の整備

  • ごみ処理:自治体連携による共同施設建設





◆ 数値でも示される成果



  • 起業数増加

  • 自然減少率の改善(札幌市に次ぐ水準)

  • 地価上昇など経済指標の向上





◆ 残された課題と徳島への教訓




◎ 地域間格差



一部地域では農家・起業家との連携が希薄であり、地域内格差の解消が今後の課題。



◎ 後継者と担い手確保



現在は農業高校や畜産大学の存在で担保されているが、将来的には不透明。



◎ 気候変動への適応



温暖化によりサツマイモや魚種などが変化。戦略的な作付転換が必要。



◎ 市民認知の限界



行政・経済関係者には理解があるものの、市民への浸透は限定的。市長主導ゆえに、政権交代時の継続性に課題。




◆ おわりに



「フードバレーとかち」は、地方の持つ可能性を最大限に引き出し、農業・産業・研究・人材・観光を一体化させた先進事例です。

徳島市にとっても、「一次産業×観光」「中洲市場の活性化」「徳島大学との連携」「すだちや海産物など地場産品の高付加価値化」といった多くの視点で応用が可能です。


そして何より、姉妹都市である帯広と徳島が「食」を通じてさらに繋がる未来は非常に魅力的です。


今後は、十勝の成功を徳島の現場に落とし込むだけでなく、徳島ならではの「第二のフードバレー」構想の実現も視野に入れ、政策提案・調査研究・関係構築に努めてまいります。



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