投票率の低迷、政治的無関心、そして日本の未来
- 祐一郎 石部
- 2025年7月25日
- 読了時間: 5分
■「合区」とは何か

「合区(ごうく)」とは、参議院選挙における選挙区制度の見直しの中で、いわゆる“一票の格差”の是正を目的として導入された制度です。
平成27年の公職選挙法改正によって、鳥取県と島根県、そして徳島県と高知県がそれぞれ1つの選挙区に統合される形となり、いわゆる「合区」と呼ばれる制度が誕生しました。以来、徳島・高知選挙区は、2つの県で1人の参議院議員しか選出できない状況が続いています。
しかし、この制度は単なる“票の数合わせ”にとどまらず、地域の政治参加意識や投票行動、ひいては民主主義の根幹にまで影響を及ぼしていると感じています。
■全国知事会が「合区解消」を決議
2024年7月、全国知事会は「合区の解消を求める決議案」を可決しました。これは、合区が地域の政治的意思を反映するうえで深刻な障害となっていると、多くの知事が認識している証左でもあります。
この決議の背景には、選挙のたびに各県で起こる「候補者が自分の県の出身でないから投票しづらい」「どこか他人事に感じる」といった有権者の心理的な距離感があり、実際にそれが投票率の大幅な低下という形で表れています。
■徳島・高知選挙区の実態:3回連続「全国最低」の投票率
徳島・高知選挙区の投票率は、2019年・2022年・2025年と3回連続で全国最低という不名誉な結果となりました。
実際の選挙の現場では、
「今回は高知の人が立候補なんやろ?徳島関係ないでぇ」
というような声を多く聞きます。
いくら候補者本人が訴えても、応援団が熱心に支援しても、「自分の県の代表を選んでいる」という当事者意識が希薄なままでは、有権者の心には届きません。
■合区がなくても、投票率は上がるのか?
しかし一方で、合区が原因ですべての投票率が下がっているわけではないのも事実です。
徳島市における近年の主な選挙の投票率を見てみましょう。
選挙 | 投票率 |
令和7年 参議院選挙(合区) | 50.48% |
令和6年 徳島市長選挙 | 41.37% |
令和5年 市議会議員選挙 | 41.29% |
令和5年 県議会議員選挙 | 48.27% |
令和5年 徳島県知事選挙 | 52.38% |
こうして見ると、合区以外の選挙でも投票率は決して高くはないのが現実です。
■“安心”の無関心から“諦め”の無関心へ
かつて麻生太郎元首相は、「日本の政治への無関心は、ある意味で政治の勝利である」と語ったことがあります。
「政治に関心がなくても、一定の水準の暮らしが保障されているからこそ、国民は無関心でいられる。もし、国の未来が不安定であれば、国民は必死で選挙に参加する。」
たしかに、投票率が非常に高い国々の多くは、内戦や弾圧、命の危険が選挙の結果と直結している地域です。
しかし、現在の日本の無関心は、もはや“安心”に起因するものではなくなってきたように思います。
「誰がやっても同じ」「何も変わらない」「諦めた」
このような“諦めの無関心”が広がっているのではないでしょうか。
そして、この諦めの無関心の先に、危機感による若しくは危機による関心を迎えてしまうのではないでしょうか
■世界は激変している、日本は“平和ボケ”でいられるのか?
現在の世界情勢を見渡せば、日本が置かれている状況がいかに危ういかは明らかです。
ロシアによるウクライナ侵攻
台湾有事の可能性
朝鮮半島の緊張と北朝鮮の核開発
中東地域の不安定化
アメリカの「自国ファースト主義」による国際秩序の変化
南海トラフ地震・首都直下地震など国内の巨大災害リスク
こうした現実に直面しながらも、政治への関心が薄れ、選挙に行く人が減り続けている。
「そろそろ本当に危機感を持たなければならない時代に来ているのではないか」
そう強く感じます。
■戦後80年、日本は本当に自立したのか?
私たちは、核によって焦土と化した国土から奇跡的な復興を遂げてきました。
しかしながら、エネルギーのほとんどを輸入に依存し、食料自給率も著しく低い現状。経済もデジタルも外資系企業に握られ、
買い物はAmazon
検索はGoogle
動画はYouTubeやNetflix
使用機種はiPhone
SNSはMeta(Facebook・Instagram)
といった具合に、私たちの生活の基盤すらも海外に依存しています。
郵政民営化に始まり、JAの民営化の可能性、地域経済の空洞化──、このまま“自主独立の道”を放棄してよいのでしょうか?
■選挙とは「白票」でもいい、行くことが大切
「投票率を上げるなら、選挙に行った人にお金を配ればいい」といった極端な意見も時に聞こえてきます。
しかしそれでは、お金欲しさで名前を見て一番上に投票するような、“無関心の投票”が増えるだけです。
選挙とは、日曜日に体育館に行く行為ではありません。
候補者の政策を聞き、考え、「この人に託す」という意思を持って票を投じることが本質です。
「誰にも託せない」と思うなら、白票を投じてもいい。
それも立派な意思表示であり、主権者の権利です。
■林英臣政経塾で学んだ“地域を見つめる政治”
私は、林英臣先生のもとで「本来の政治のあり方とは何か」を学ばせていただいています。
「合区とは、“人の数”だけで政治を組み立てようとする近視眼的な制度。
しかし、地域には人だけではなく、自然、動物、山、川、森、文化がある。
政治とは“人のため”だけではなく、“地域全体”を見つめなければならない。」
つまり、「人の数」ではなく、「地域全体の価値」を見る政治が、本来の姿ではないでしょうか。
■今こそ、投票を「自分ごと」に
「誰がやっても同じ」
「どうせ変わらない」
そう思って、諦めてしまうことが、最も危険です。
私たち一人ひとりが、主権者として「意思を持って投票する」こと。
それこそが、国の未来を左右する第一歩なのです。
■結びに
合区の議論は、単なる制度の話ではなく、民主主義の本質を問い直す問題です。
そして、その答えは制度ではなく、私たち一人ひとりの「関心」と「行動」にかかっています。
“何もしなければ、何も変わらない”。
“動けば、きっと何かが変わる”。
その原点に立ち返り、私はこれからも、地域と向き合い、未来を見据えた政治を進めてまいります。



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